夢のはざま

鏡女王の物語【水鏡】連載中です。

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「少し休まれたら如何です」
ラースローがちらりとティスナを見やって言った。
 国王オルギウスの容態は良くも悪くもならなかった。
「脳につまった血は取り除けないのですか」
 ティスナはラースローの言葉を無視して聞いた。
 その問いにラースローは首を振る。人体を切り内部を処理するのは未知の領域だ。今の技術では外傷を縫合するのが関の山だ。外傷のないオルギウスに施す治療は、流し込む食事を気管に詰まらせないようにすること。そして何かを絶えず話しかけて反応を診ることだけだった。  
「信用できる侍女はいないのですか。わたしは倒れたあなたまで診る事はできません」
 ラースローの言葉に顔を上げるティスナ。
「冷たい言い方ね。でもいいわ。わたくしだってあなたの治療は受けたくないもの」
 共謀者として必要なのは信頼ではない。お互いの目的を最大限に利用する知恵だけだ。ラースローやオレアルが己の保身のため、自分に何をするかわからない。ティスナはそう思って笑った。
 まだ私にはやることがある。まだ終わってはいない…。
「信用できる侍女はいなくてもいい。忠実な何も考えない者がいればいいのです」
 ティスナはそう言いながらもひとりの娘を思い浮かべた。黒髪の豊かな美しい娘。
 ラースローはそんなティスナを見て、訝しげに眉をしかめた。
「それではわたしはこれで。また明日参上いたします」
「オレアルはどうしました? 最近姿が見えないようだけど」
 出ていこうとするラースローにティスナは思いだしたように言った。
「存じません。領地に帰ったのでは? でなければタニアとか」
 そんな許しを出した覚えはない。しかしラースローの言うことは当たっているかも知れない。ティスナはレースのハンカチをちぎれるほど握りしめた。
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