夢のはざま

鏡女王の物語【水鏡】連載中です。

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 翌朝、屋敷中に散らばった死体を片づけた。近所の農夫に街へ行って貰い、警護兵を呼んだ。そう指示したのはラースローだった。
「被害は?」
「主人が腕に怪我をしたぐらいで、他は」
 ちらりと見やると、ラースローは自分で手当をしたのか、羽織った薄いシャツから腕に巻いた布が透けて見えた。
「これを全部ひとりでやったのか…」
 警護兵は死体を一体一体確認しながら呟いた。驚くのは無理ない。アリアの姿は15、6歳の少年にしか見えないのだ。アリアは天然のウエーブがかかった赤い髪をかきあげ、結び直した。ラースローが最後のひとりを切ったことは伏せておいた方がいいのかもしれない、と何気なく思った。
「心当たりは」
 とかなんとかラースローに聞く声がする。ない、とラースローの短い声。
 それにしても何者だったのだろう。武装はしていたものの、ひとり二人をのぞいては素人集団のようだった気がする。二人きりという屋敷の状況を見くびっていたのか。
 と、アリアの頭に引っかかるものがあった。
『こいつらは屋敷内にラースローと少年の自分しか居ない事を知っていた?』
 荒らされたのは書室とその奥。そしてラースローの寝室。ほかは殆ど手つかずだ。
 二階から運ばれてきた遺体を見て、アリアはそのひとりに目を見張った。
『この男…』
 辞めさせられた家令だった。あのときは薄暗くてよくわからなかったが、ラースローが差し貫いたのは家令だったのだ。
 運び出された死体は、馬車に乗せ警護兵達が引き取って行った。身元がわかるような物はなにもなかった。
 床に飛び散った血を拭い、敷物を洗って干す。荒らされた部屋の整理をしているアリアにラースローが声をかけた。
「適当にしておけ。もうじきこの屋敷から出ることになる」
 手を止めてアリアはラースローを見た。
「おまえもさっさとここから出て行け」
 口をききたくはなかったが、思わず声に出していた。
「あの男は何を探していたんだ。お主は知っているのだろう?」
 ラースローは無表情のまま「北宮に行く」と言った。
「今日ぐらい休んだらどうだ。馬に乗ると傷が開くぞ」
 だが、ラースローは口端をゆがませて出かけて行った。
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