夢のはざま

鏡女王の物語【水鏡】連載中です。

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 夜を徹して北宮の捜索が行われた。 片端から賊の残党を探したが、警護兵や使用人達の屍しかなく、賊を追跡した兵士達も彼らの行方を掴む事はできなかった。
 夜が明けてオルギウスの室に重臣が集められた。
「なんとしてでも賊を見つけ出せ。 王宮を襲うとは何という暴虐。 探し出すまでわしの前に出る事はゆるさん!」
 膝をおり、頭を深々と下げた重臣たちがこわばった表情で退出した。
 部屋にはオルギウスが執務席に腰をかけ、両側にティスナ、そしてキアヌが寄り添う。オルギウスの手は怒りでまだ震えていた。 そばにいるキアヌを引き寄せる。
「無事でよかった。 おまえに切りかかったものはわしが捕まえてやる。 その場で切り刻んでやる。 安心しろ」
 キアヌは青ざめた表情で父王の手を握った。 ティスナは冷めた目で息子を見た。
「話によると、賊はかなりの手椀だったようですわ。 盗まれたものも大した事はないとのこと。 ただの強盗とは思えませんわ。 無法者の仕業にしては手際がよすぎ、そして中途半端です」
 オルギウスがティスナを見上げた。
「お母さま…」
 キアヌがますます青ざめる。
「何が狙いだったというのだ、ティスナ」
「さあ…。 それは陛下のほうがよくご存知なのでは」
「うぬ…っ。 あいつか? あいつがわしにたてついて…」
「わたくし、本当に何もいりませんのよ。 なのにわたくしたちを疎ましいと思っている方達がたくさんいるなんて、悲しい事ですわ」
 ティスナの言葉が、さらにオルギウスの疑惑をかき立てた。
「おのれ、メルキオめ…っ」
 オルギウスは立ち上がった。
「タニアに軍を送る。 バルツァの家に使者を出す。 メルキオを幽閉するのだ」
ティスナは扇で口元を隠してこっそり微笑んだ。
「このままでは済まさぬ。 この国の王が誰なのか思い知らせてやる」
キアヌは恐怖の目でオルギウスを見上げた。 顔を真っ赤にして怒る父王がまるで冥界の神のように見えた。 と、父オルギウスの様子が変わった。 目を見開き、体全体が震えている。
「お父さま?」
「あ…、ああ…」
 オルギウスは言葉にならない声を発し、床に崩れ落ちた。
「陛下!」
「お父さま!」
 そばに控えていた数人の侍女が小さく悲鳴を上げた。 ティスナは倒れたオルギウスの元にかがみこんだ。
「どうなさったのです陛下。 陛下!」
 侍女達が人を呼びに行こうとしてる。 ティスナは意識の無いオルギウスを確かめ、侍女を制した。
「侍従を呼びなさい、内密に。 それから主治医を。 外部に漏らしてはなりません。 漏れた事がわかったら、おまえたちの命はないと思いなさい」
 動揺はしていたが、しっかりとした命令だった。
「陛下、わたくしの声が聞こえますか。 陛下! 返事をなさって下さい」
 オルギウスは大きないびきをかいていた。
 現れた侍従に、すぐにナミルのラースローを呼び戻すように言った。
 ベットに寝かされたオルギウスをそばで見守りながら、ティスナは独り言のように呟いた
「こんなことでは死なせはしない。 あなたにはもっとふさわしい死に方がある。 こんなことでは…」
 ティスナの呟きを、キアヌは凍る思いで聞いていた。
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3つの視点の内2つが交差して、また別のところで落ち着いていますね。まあ当人達は落ち着いてなどいないでしょうが。
この先どのように話が展開されていくのか、楽しみな反面いくらかの不安もあります。大団円にはならないでしょうか。

話はかわりますが。笠七第3話前編を公開しました。現在後編を制作中です。間に中編がありますので、頃合を見てだしていく予定です。

2006.11.21 20:52 URL | 一九 #- [ 編集 ]

一九さん、いつもありがとうございます。
最近は時間が思うようにとれず、週末だけパソコンをあけるので、返事が遅くなってしまって…。

この物語は原作があるので、基本は一応そのラインに沿って行きます。いろいろ設定は変えていますが。

笠七第三話、楽しみですね。

2006.11.26 15:03 URL | 武久縞 #- [ 編集 ]













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