夢のはざま

鏡女王の物語【水鏡】連載中です。

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 ラティアは皆から離れてエドアルドの姿を探した。 小走りになって人混みをかき分ける。 どこにいるのだろう。 狙うとしたらどこから? 何を使って?
 立ち止まって通りに立ち並ぶ建物を見た。 窓という窓から人が乗り出している。 その中で、ひとつだけ、開いてはいるが人影の見えない窓があった。
 通りを横切ろうとしたが、すでに行列がさしかかっていた。 歩兵がラティアの目の前に続いた。 その後に騎乗組。 そして王族だ。 間に合わない。
「いけない、エドアルド。 これは罠よ」
 次々に通り過ぎていく行列。 ラティアは人混みをかき分け、流れに逆らって王族の馬車を目指した。 人々が歓声を上げる。 ぶつかるラティアをののしる声も上がる。 あの窓を振り返ると、赤い髪がかすかに見えた。 キラリと光るのは鏃だろうか。
 ラティアは胸元から剣を取り出して握りしめた。 沿道の守りを固めている兵士の脇を通り抜け、通りに躍りでる。
「おいっ。 こら」
 気がついた兵士がラティアの後を追う。
 赤い馬車は目の前だ。 ラティアは剣の鞘を投げ捨てて馬車に向かって走り出した。
 その後を追うのは兵士だけではなかった。 異人さんもラティアの行動を見ていた。
「ラティア!」
 その声はラティアには届かない。 馬車につながれた馬がいななく。 廻りの付き人が悲鳴を上げる。 異変に気がついた歩兵達が槍や刀を持って掛けよる。
 ラティアは彼らよりも早く馬車の戸に手を掛けた。 だが、兵士達の手がラティアのショールをつかんだ。 ショールを無くしたラティアの黒髪がふわりとこぼれ出た。 続いてラティアの腕や衣服を掴む兵士達の手と手。
 ラティアは短剣を手にしたまま兵士達に押さえつけられた。
「ラティアっ!」
 同時に異人さんも兵士達によって抑え込まれた。
 馬車が止まり、中から降りてきたのは近衛隊の隊長、モドリッチ家のカルロスであった。
 派手な羽根飾りのついた近衛隊長の帽子をかぶり、金の房がついた剣を腰に巻き毛のカルロスは声高く命じた。
「そのものどもを城まで連行せよっ」

「ラティア…」
 エドアルドはクロスボウの引き金を今引こうとしていた矢先に起こった出来事を、信じられない思いで窓から眺めた。
「なぜ、ラティアが」
 そこに戸を蹴破るようにシモーナが入ってきた。
「シモーナ」
「早くこの場から逃げるのです」
「なにがどう…」
「これは罠です。 もうじき兵士が乗り込んでくるでしょう。 早く!」
「わな…?」
 シモーナはエドアルドの戸惑いを無視してエドアルドの荷をかき集めた。 証拠が残ってはなにもならない。 しかし連絡した者がエドアルドの素性を知っていればもうどうしようもないが。 しかしこの場でつかまるよりは何にもならない。
「しかしラティアは」
「彼女の事は諦めた方がいいでしょう。 彼女は…」
「シモーナ!」
「早く!」
シモーナはエドアルドの腕を掴むと廊下に出た。 そこには二人の男が倒れていた。
「あなたの行動を見張っていたのです。 異変があったときにすぐに踏み込めるように」
「君が殺ったのか」
「この計画をなぜわたくしに言って下さらなかったのですか。 そうすれば…」
そうすればラティアがつかまる事はなかったとシモーナは言いたいのだろうか。
「わな…」
もう一度呟く。
「こちらです」
表階段を避けて廊下の突き当たりの窓から屋根づたいに裏道へと逃げる。
「まて。 ラティアはどうなる」
「彼女の事は考えるのはおやめなさい。 今あなたがつかまっては彼女の行動も無になります」
エドアルドは言葉を失った。
「これをかぶって」
シモーナはショールをエドアルドの頭に巻いた。 振り返ると出てきた窓から兵士達がのぞいている。
「あなたの赤毛は目立ちすぎます」
「ラティア!」
エドアルドは叫んだ。 叫んだ所でラティアには届くわけもないがそれでも叫ばずにはいられなかった。
「ラティアーっ」 
シモーナはエドアルドの腕を強引に引きながら路地から路地へと走り続けた。

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