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夢のはざま

鏡女王の物語【水鏡】連載中です。

 夜中、男女四人は額を突き合わせるようにかたまった。
 エドアルドが今まで接触してきた男がもたらす情報を話した。
 連絡をとる人間はいつも違う。 どの情報が真実なのかははっきりしない。 だが、一貫してそれらの情報は筋が通っていた。
「つまり親父は、王子達を呪詛した人物を探し出して、そして殺害することが使命だった。 命令の出どこはわからない。 それを言わないあいつらが何者なのかも実の所わかっていない。 ただ王子達の呪詛は国王派、しかもキアヌ王子を擁立する一派だということだけは、どうも真実らしい」
 ここまでの話はオリシスが先に言っていたことと同じだ。 そのキアヌ擁立派はティスナ妃のお気に入がオレアルが首謀であるらしいとの情報、そして呪詛がナミル山で行われた可能性があるとの情報から、証拠を掴むために父エルネストはナミル山に向かい、そして討たれたのだとエドアルドは言った。
「ちょっと待ってよ。 王子が亡くなったのは、父が居なくなる半月ちかくも前だ。 その時にナミル山に行ったところでとっくに呪詛は終わっているだろう?」
と、アリアが口を挟んだ。
「何かしらの証拠が残っていた可能性もある。 呪詛は何日も何週間もかけて行うのだ。 人がそこに居た形跡ぐらいは残るだろう」
「でも、そもそもどうしてそれが謀反になるんだ。 どうしてそういう話になってるんだ?」
アリアのその質問に対しては、オリシスが答えた。
「カルマール氏の遺体から密書が発見された。 それには国王陛下への糾弾が書き連ねてあったそうだ。 差出人はわからない。 カルマール氏の遺体は聖域ナミル山の守りの兵士達によってタニアに運ばれている。 ナミルに無断で入った不審者という名目で殺されたのだが、その指揮を取っていたのがオレアルだ。 密書はオレアルの手から国王陛下に渡された」
「守りの兵士はその呪詛に気がつかなかったのか?」
そこでアリアは気がついた。 オレアル。 彼が守りの指揮を取っていた。 彼はティスナの取り巻きだ。
「オレアルは父上を利用して呪詛の捜索を謀反に置き換えたのか」
「宮廷で噂されるのは、その点だ」
「…!」
アリアは奥歯をかみしめ拳を握った。
「カルマール氏はたぶん、いままで宮廷を離れていたから今回の事に巻き込まれたんだと思う。 謀反に仕立てられる可能性は初めからあったんだ。 だがカルマール氏なら、つながりを探ろうにも何も出てはこない。 ティスナにとってはとりあえず謀反と言う言葉を出して、国王陛下のメルキオ殿下への不信感を募らせることが出来た」
「次に行動を起こす者を捉える事ができたら、今度は当然メルキオ様の名前を出して排嫡へとなるでしょう」
シモーナがオリシスの言葉を継ぐ。
「メルキオ殿下は今回の父上のことをどう思っておられるのだろう」
アリアはつぶやいた。 素朴な疑問だったが、エドアルドの答えは簡単だった。
「知っていても何もしないだろう」
「殿下ご自身が動くことはない。 どんな疑いも国王陛下に抱かせてはならないと、殿下が一番よく知っているはずだ」
つまり、父や自分達と殿下の関係を疑われないようにしなければならないということか。
 アリア出かかったため息を無理矢理引っ込めた。
父はメルキオ殿下の命令で事を起こしたのだ。 そうだろうとは思っていた。エドアルドが接触した人間は名前も名乗らず、主の名も明かさなかったという。それをとを考えれば、他に何があるだろう。
 だが、とアリアは思う。
 いくら殿下の命令だからと言って、なぜ父は従ったのだ。地位も領土も財産も取り上げておいて、今更何の権利があって父を使うのだ。利用するだけ利用して、父には汚名しか残らない。今度はそれに自分達まで都合のいいように使おうというのか。
「……」
エドアルドがアリアの肩を叩いた。 薄い肩は小さく震えていた。 それが怒りのである事をエドアルドは知っていた。
「ただでは利用されない。 何があっても父の名誉を取り戻してやる」
呟くアリアにオリシスは目を細める。 シモーナはそれを横目で見ていた。

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