夢のはざま

鏡女王の物語【水鏡】連載中です。

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 昼過ぎまでエドアルドはそのテーブルにうつ伏せでうたた寝をしていた。
 物音に目をあけ、そこにアリアの目を見つけた。
「アリア…」
「こんなところで寝ていると、体がまいってしまうぞ。 ベット空けたから、ちゃんと寝た方がいい」
エドアルドは両手で顔をこすり、知らない間に掛けられた毛布を胸元に引き寄せる。 掛けてくれたのはアリアだろうか。
「アリア…、おまえに話しておきたい事が…」
「アーリアンだ。 話はあとで聞く」
アリアの小声に、エドアルドは自分を遠巻きに廻りが掃除をしているのに気がついた。
「夕べは悪かったな」
それだけ言ってエドアルドは自室に行った。
「あとでメシを持って行ってやるから」
わざと男の子のような口を聞くアリアの声に、オリシスの言葉が重なった。

 アリアが運んでくれた昼食を食べながら、エドアルドは夕べの事を切り出そうとしたが、アリアに先を越された。
「兄上、思い出したか?」
「な、何をだ」
「ラティアのことだよ。 やっぱり彼女はどこかで兄上に会っている」
エドアルドとしてはできればそのこと抜きで話をしたかったが、そういう訳にもいかないようだ。
「ラティアがそう言ったのか?」
ううん、とアリアは首を振った。
 エドアルドは荷物の中からぶどう酒の皮袋を取り出し、器に注いでアリアにも勧めた。 自分の分を一気に飲み干し、さらにもう一杯注いだ。
「夕べ帰って来たとき、おまえとラティアがカウンターで話をしていた。 必要以上におれ達に近づいているような気がして、でオリシスにここの二番人気の娘を紹介してもらったんだ。 夕べ部屋に帰らなかったのはこのせいだ」
「その娘は、なんて名前なんだ?」
「えー…と、ス…じゃなかった、サミーアだったけか…」
ふーんと横目でアリアがエドアルドを見る。
「だってしょうがないだろう。 彼女の名前が目的で行ったわけじゃないんだから」
アリアはぶどう酒を一口のんで顔をしかめた。 ぶどう酒は皮袋の匂いがしみこんでいた。
「疑っているのか」
「疑ってなんかいないよ。 それで、何かわかったのか?」
「ラティアは下の娘には人望が厚いようだが、そのほかにはどうも受けが悪いらしい。 彼女もそう思ったからいろいろ話してくれたんだが」
 ラティアは四年ほど前にここにやってきた。 来たときはやせっぽちの少女だった。 『だから面倒みてやったのにさ、今じゃ立派なものよ。笑顔でひとの客をとっちゃって、飽きたら他の娘にポイだもん』というところだ。
「だけどさ、それってラティアのほうが魅力的ってことじゃないか。 他の娘にって、きっと割のいい客を下の娘に紹介してたんだと思うけど」
アリアが苦い顔をしながらぶどう酒をのむ。 そんなアリアの発言に、エドアルドは眉をしかめた。
「へえ、ずいぶん仲良くなったんだな」
珍しく突き放した言い方をする。
「そんなんじゃない。 ただ、ラティアは…」
「ラティアがどうした」
アリアはエドアルドの目を見た。
 ラティアは誰かに恋をしている。 その憂いを帯びた横顔が一人の人間としてアリアの目に写ったのだ。 ただそれだけだ。 なのにどうしてエドアルドはそんな目をするのだろう。
「ラティアに身の上話をするほど私はばかじゃないぞ」
アリアはそれだけ言った。
「口では突っ張った事言ってるけど、あれ、本気じゃないって気がするんだ。 ラティアはただ、誰かを探しているんじゃないかと思う」
「…誰って」
それは兄上なのではないのか? という問いをアリアは飲み込んだ。 聞いてはいけないような気がした。 
「わかんないよ。 だから気になるんじゃないか」
「…そうだな…」
エドアルドはまたぶどう酒を飲み干した。
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