夢のはざま

鏡女王の物語【水鏡】連載中です。

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 いつものように朝晩の世話はラティアがしていた。その間、ティスナは殆ど口をきかずただ黙ってラティアの手に任せていた。何も言わず鏡の中の己の目をじっと見つめているティスナの姿は、ラティアに妙な不安を感じさせた。以前のようにあれこれと注文をつけたティスナの方が接し易かったし、またティスナの眩しいほどの輝きに尊敬の念さえ抱いていた。
 国王が伏せている事は知っていた。その看病に疲れている事も。そして得体のしれない緊張がティスナを包み込んでいる事もラティアにはわかっていた。
 しかし、呼ばれて部屋に入ったラティアはティスナの様子に目を見張った。
 ここ十数日間のティスナではなかった。そこにいたのは、初めて会ったときと同じ、他を圧倒する気品まとったティスナであった。
「おまえに頼みがあります」
張りのある声だった。ラティアは頭を下げて続きを待った。
「時がきたら、キアヌを連れて行って貰いたい」
ティスナが立ち上がって地図をラティアに差しだした。
「タニアより南、ずっと南にあるバルツァ家の領地です。時がきたら、幾日かかってもいい、キアヌを必ず連れて行って貰いたい」
繰り返した言葉が強くなっていた。顔を上げるラティア。
「あたしが、ですか」
「そう」
「お供の方々は」
ティスナの首が左右に揺れた。
「行くのはおまえとキアヌだけ」
「ティスナ様!」
ティスナはラティアの手を取り、椅子に座らせて自分も向かいに座った。しばらくティスナは黙っていたが、口元に微笑みを浮かべて物語を語った。
「昔、南の海に面した小さな国がありました」
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